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                                 by 岡本仁

 

 

現代音楽家ヤン富田さんが

必然性のある偶然」という言葉をよく使われていて。

 

鍛練を続けている人にだけ訪れる偶然があるという意味なんです。

 

ぼくの場合、なにかを鍛錬しているわけではありませんが、

旅先ではとにかく歩くので、小さな偶然の瞬間に立ち合う機会が多い気がします。




先日、札幌市の大通公園まで、

彫刻家イサムノグチによる『ブラック・スライド・マントラ

というすべり台の作品を見に行ったんですが、

まだ雪が残っていて近づけなかったんです。

でも、次の日にもう一度しつこく見に行ってみたら、

作業着のおじさんが5、6人いて、ブーンと大きな音のする機械で除雪を始めた。

「へえ! こうやってやるんだ!」と写真を撮りまくったのですが、

突然こういう珍しい瞬間に立ち会えるのは旅の魅力だなと実感しました。

 

 

 

どこに行っても「散歩をする」

          という気持ちで平常心を保つ。

 

 

「平常心を失うな」かな。

非日常的な体験だからこそ、それを平常心で捉え直すことも大事。

あと、1回の旅でたくさんの成果を求めすぎないのも大事ですね。

旅は1回で済ませるなって思っています。


旅に行ったとしても、普段の生活と同じか、それ以上のスピードで動いていたら、

その場所の本当の魅力は見えず、どこも同じに見えてしまう。

だけど、欲張らずに平常心で過ごしていると、

旅先の街の普段のテンポがわかってくる。

そのテンポが自分と合った場所に何度も行きたくなるんだと思います。

そんな感じで、自分をマイルドに外に連れ出してくれるものが

旅なのかなとも思います。